おしりからが血が出たり、血が混じった便がでたりしたことはありませんか?おしりが痛いから「痔」だろうと自己判断しては危険です。もちろん、おしりが痛くないからといってそれだけで「大腸がん」だとも言えません。おしりから出血したという事実だけでは、本当におしりからの出血なのか、大腸からの出血なのか、その他の場所からの出血かはわからず、原因や考えられる病気もさまざまです。
◆ おしりからの出血とは?
おしりからの出血している状態は、下記のような出血から、肉眼で見えるようなはなくとも検便で指摘される「便潜血」までさまざまです。
- 排便時、おしりを拭いたらペーパーに血がついた
- 排便後に便器が血で真っ赤だった
- 便に血が混ざっている
- いきむと便ではなく血がでる
- 便の色が赤っぽい、もしくは黒くて心配になる
- 時々便をするときに血と一緒にゼリー状の粘液がでる
出血だけでなく、合わせて下記のような症状はないですか?
- 慢性的な下痢
- 便秘、下痢を繰り返す
- みぞおちの痛み
- 胸やけがする
- いつもお腹が張っている感じがする
血便や下血は、身体からのサイン。消化管(食道・胃・小腸・大腸)や肛門などの異常を知らせてくれています。上記の症状が伴う場合、命の危険を招く重篤な疾患の可能性もありますので、見逃さずに消化器内科を受診し、検査を受けましょう。
◆ どんな血便・下血ですか?
便に血が混じっているといっても、色が「赤い」ものと「黒い」ものでは、考えられる病気が違ってきます。なぜなら血液は、消化される過程で酸化するなど、出血してから時間の経過とともに赤から黒に変色していくからです。つまり、出血した場所によって色が違うということ。赤い血(鮮血)は肛門に近いところからの出血で、黒くなるほど肛門から遠いところで出血している可能性が高いと考えられます。
実は、血便と下血は別のもので、便に赤い血が混ざっている状態を「血便」といい、古い血が混ざって便が黒くなっている状態を「下血」といいます。
いくつかの病気を併発している場合もあるので検査が必要ですが、便の色を通して、出血源となる部位や疾患が推測されます。
◆ 炎症性腸疾患とは?
ゼリー状のベトベトした粘液と血液が混ざった便(=粘血便)が出た時に疑われるのが、炎症性腸疾患。聞きなれない病名ですが、腸の粘膜に炎症を引き起こす病気のことで、感染性のものは含まず、潰瘍性大腸炎やクローン病を意味します。「潰瘍性大腸炎」は以前にもブログで、若者に急増していることを書きましたが、安倍晋三元総理の辞任理由に挙げられ、注目を集めましたね。日本では、潰瘍性大腸炎もクローン病も1990年代以降急激に患者数が急増しています。潰瘍性大腸炎は20歳代~高齢者まで、クローン病は10~20歳代で発症するケースが多いとされています。原因は、食の欧米化や、免疫機能の異常、遺伝との関連などの指摘があるものの、明確な発症メカニズムは現時点では解明されていません。いずれも難病指定されています。
●潰瘍性大腸炎・・・大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる。粘血便、血便、腹痛、下痢など腸に関連する症状。炎症が長引くと大腸がんになる可能性が高くなる。
●クローン病・・・大腸に限らず口腔から肛門までの消化管全体に潰瘍ができる。粘血便、発熱、腹痛、下痢、体重減少が主な症状。
潰瘍性大腸炎について詳しくはこちら
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