1億もの神経細胞を持ち「第二の脳(セカンド・ブレイン)」と呼ばれている腸。消化・吸収・排泄といった生物にとって生命維持に欠かせない機能をもつ腸は、脳からの指令がなくても24時間絶え間なく働いています。また、脳とも密接な関係にあり、私たち人間の身体においてとても重要な働きをしています。腸を大事にすることは健康寿命を延ばすことでもあり、高齢になるほど労わるべきところと言えますね。
40歳を超えると大腸がんの発症リスクも高くなるので定期的に内視鏡検査を受けて頂きたいところです。カメラがついた細い管を肛門から挿入する通常の内視鏡検査に比べて、口からカプセルを飲む大腸カプセル内視鏡検査は、苦痛を伴わず精度の高い検査ができます。
◆ 大腸の働き
大腸の長さは約1.5メートルで盲腸、結腸、直腸に分けられます。口から入った食物は、小腸で消化、栄養素を吸収し、その残りがドロドロの状態で大腸に届けられます。大腸では水分やミネラルを吸収して便が作られ、直腸まで届けられ肛門から排便されます。
◆ 大腸内視鏡検査でわかる大腸の病気
大腸がんはがんの死亡原因の中で女性1位、男性は3位(厚生労働省「平成30年(2018年) 人口動態統計による全国がん死亡データ」)となっています。ほとんどの大腸がんは、大腸ポリープ(良性腫瘍)が悪化したものでその段階では自覚症状がなく、健康診断で行う便潜血検査では反応しない場合もあります。がんは早期発見・早期治療により完治の可能性が上がりますが、ポリープの段階で発見できれば切除して大腸がんの芽を摘むことができます。他にも潰瘍性大腸炎やクローン病、虚血性腸炎、大腸憩室症、ウィルス・細菌・寄生虫によっておこる大腸炎などについて大腸内視鏡検査を行います。
潰瘍性大腸炎を詳しく→若い世代に急増する潰瘍性大腸炎
◆ 苦痛がない大腸カプセル内視鏡
大腸カプセル内視鏡は、長さ31.5mm×幅11mmのカプセル型の内視鏡の両端に一つずつ小型カメラがついていて、ほぼ360°に近い領域を撮影することが可能。飲み込んだカプセルが大腸の中を早く移動した際には枚数を多く撮り、停滞しながらの移動の場合はゆっくり撮るというように、移動速度に合わせて1秒間に4~35枚撮影されます。撮影された画像は記録装置に転送され、その画像を医師が確認し診断します。カプセルは使い捨てで検査後、排便で対外へ排出します。カプセル内視鏡は2014年に保険適用になりましたが、令和2年度にも保険適用が拡大されています。下記症状のある方は医師にご相談ください。
- 便が細くなった気がする
- 排便後すっきりしない
- お腹が痛い よく張る感じがある
- 便潜血反応が1回以上陽性だった
- 検診で貧血と言われた
- 血便がでる、お尻を拭くと紙に血がつく
- 大腸ポリープを切除したことがある
- 家族や親族に大腸がんの患者がいる
- 過去に大腸内視鏡検査でつらい思いをした、もしくは挿入困難だった
◆ 大腸カプセル内視鏡のメリット・デメリット
◎メリット
- カプセルを飲むだけなので、痛みや恥ずかしさなど身体的・精神的苦痛がない
- 両方向からの観察が可能なため腸管の裏側に隠れた病変も観察できる
- 穿孔(穴があく)などの重篤な偶発症はない
- 病変の色調を観察することができる
- 麻酔を使う必要がない
- 放射線の被曝がない
- 様々な要因により大腸内視鏡検査が受けられない方でも検査が可能
◎デメリット
- 前処置の後と検査中に下剤を飲む必要があり、下剤の内服量が多い
- 滞留する可能性がある
- 送気や洗浄などができない
- ポリープなどの病変の切除や、細胞を採取して病理検査にかけることができない
- 腸の動きによりカプセルが進むため検査時間が長い
- 大腸内視鏡検査に比べて費用がかかる
[大腸カプセル内視鏡検査を詳しく]
https://www.seikohkai-hp.com/menu/category/capsule-endoscopy/
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