胆石症のリスク4Fに当てはまっていませんか?

「とにかく痛い」というイメージがある胆石症。胆石を患い、当時の痛みを「人生最大の痛み」と表現したのは、書道家の武田双雲さん。’09年にNHKの大河ドラマ「天地人」の題字を担当したことで飛躍的に有名になり多忙な中、食生活の乱れもあり体重はかなり増加傾向だったといいます。それほどの痛みを感じるとわかりやすいですが、胆石が小さなうちは無症状という場合も多いので気づかない場合も多く、実は成人の10人に1人は胆石があるとされているほど身近な病気です。

 

胆石の正体とは

石ができて痛いというのは何となく知っている方も多いと思いますが、意外と知らない胆石のこと。胆石は、胆汁に含まれる成分が凝縮され、結晶が集まってできた塊です。

そもそも胆石の元となる胆汁は、食事で摂取した脂肪分やビタミンの消化・吸収を助けるもの。肝臓で作られた胆汁は胆のうに貯められていて、食事をするタイミングで胆のうから胆管を通って、十二指腸へと送り出されて消化にあたるのです。

胆石の種類は大きく分けて2種類、コレステロール石と色素石ですが、日本人の約8割はコレステロール石。コレステロールの高い食事などで胆汁の中のコレステロール量が飽和状態となり、過剰なコレステロールが溶け残って結晶化し、胆石になります。残りの約2割といわれる色素石については、病気や術後にみられるものや、胆汁の細菌感染が原因と考えられるものがあります。

 

胆石症の症状

胆石症になっても2~3割の人はほぼ症状が表れず気づきません。特徴的な症状としては、胆のうが右上腹部にあるため、右の肋骨の下の部分やみぞおちが痛いといいます。ただ、痛み方は鈍痛から差し込むような痛みなどさまざまで、背中や肩、腰などに痛みを訴えることもあります。また吐き気や嘔吐などを伴うこともあり、皮膚が黄色くなる「黄疸」症状がみられることもあります。(黄疸は日本人の黄色い肌ではわかりにくいですが、白目の部分を見るとわかりやすいですね)胆石がラムネジュースの瓶に入ったビー玉のように、胆のうの出口を塞いでしまって胆汁の流れがせき止められてしまい肝機能が低下、黄疸がでるのです。ほかにも胆石症を放置すると、急性胆嚢炎や急性膵炎、胆のうがんなどのリスクにつながります。

 

胆石症の治療

無症状の場合は定期的な経過観察。痛みやその他の症状がある場合は、手術が一般的です。その場合、胆石だけを取り除いても再発のリスクが高いので、胆のうごと摘出します。特段の問題がない場合は、従来の開腹手術より身体的負担が少ない腹腔鏡下手術が用いられます。

内科的治療としては胆石をお薬で解かす溶解療法や、体外から衝撃波を照射して結石を砕いて体外に出す体外衝撃波胆石破砕療法などがありますが、時間を要することや適応する結石が少ないこと、また再発リスクが高いことから現在では腹腔鏡下胆のう摘出手術が治療の第一選択肢となっています。

 

胆石症のリスク4Fとは

コレステロール石ができやすい人の特徴は4つのFで表されます。太っている(Fatty)、40歳以降の中高年(Forty)、女性(Female)、たくさんお産をされた方(Fertile)の4つのFです。それに白色人種(Fair)も加えて5Fと言われることもあります。中高年の女性に多くみられる原因としては、更年期を迎えると女性ホルモンが低下することで脂肪分解能力に変化が生じるためと考えられています。しかし、近年では日本人の食生活が欧米化したことで動物性脂肪の摂取量が増え、確実にコレステロール石の患者さんは増えており、男性の胆石保有率も上がっているのが実情です。とは言え、症状がなく気づかないことも多いので、腹部エコーや腹部CT検査などで定期的に検査することをお勧めします。

 

胆石予防の「かきくけこ」

→ カロリーの過剰摂取は禁物(肥満になりコレステロールの代謝が悪くなります)

→ 規則正しい食事の時間(時間があくと胆汁の濃度が高くなります)

→ 果物、野菜、魚介類を多くとる(ビタミンCで胆汁の排泄増、食物繊維でコレステロール吸収抑制、タウリンで胆石肥大を抑制)

→ 健康のための適度な運動(肥満はコレステロール合成の増加因子)

→ 高コレステロール食を避ける(過剰なコレステロールは結晶化して石になります)

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