CT検査で何がわかる?

病院でCT検査をしましょうと言われて「必要な検査なら・・・」と、よく分からないままにCT検査を受けた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、CT検査とはどんなものか、なぜ必要なのかについて理解を深めて頂ければと思います。
CTはComputed Tomographyの略で、コンピュータでデータ処理をして断層写真を作る装置です。
どんな写真か分かりやすくいうと、レモンを輪切りにして光を当ててみるようなイメージです。
切り口からタネがどこにあるかよくわかるように、体を輪切りにした写真によって、小さな病変なども見つけやすくなるのです。

 

MRIとの違い

体を輪切りにして確認するというところで、MRIと同じでは!?と思ってしまうかもしれません。
確かに輪切りという点と、装置の見た目はとても似ているのですが、中身は全く違うものです。
MRIは大きな磁石による「磁場」とラジオのような「電波」を使って写真を撮影するもの。
一方CTはX線(放射線)を使います。
身体を通ったX線量の差をデータとして集めて、コンピュータ処理をすることで身体の内部を画像化します。

CTとMRIはそれぞれにメリットデメリットがあり、それぞれに得意な分野があります。

●CT:検査時間が短い(10分~20分)、空間分解能力が高い(細かく見える)、静か、体内にボルトやペースメーカーが入っていても検査可能。

●MRI:検査時間が長い(20分~40分)、組織分解能が高い(コントラストがよく見える)、X線(放射線)を使用しない。

CTは1mm以下のとても小さな病変もみつけることが可能、MRIは組織分解能が高いので骨の影響を受けにくく、病変と正常組織の濃度の差(コントラスト)がわかりやすいというメリットがあります。
それぞれの長所と短所を考慮して使い分けたり、検査の目的によっては両方の検査を要することもあります。

 

レントゲンとCTの違い

では、同じX線(放射線)を使うレントゲンとはどう違うのでしょう。
X線(放射線)を使って画像検査をするという点では同じですが、画像の性質は全く違います。
レントゲンは一方向から放射線を照射してフィルムに画像を焼き付ける、いわばカメラで写真を撮って得られるような2次元の画像です。
CTの場合は多角的に放射線を照射して、そこから得られるデータを解析して3次元的、立体的な画像にするのです。

放射線を一方向から照射した2次元のレントゲン画像では死角になって発見できないような病変でも、冒頭のレモンの輪切りの話でご説明したように、さまざまな方向から照射して死角がないCT画像であれば、わずか数ミリの小さな病変でも発見できる可能性が高くなり、より詳しい診断ができるということです。

 

CT検査について

種類

単純検査・・・造影剤を使用しない
造影検査・・・造影剤を使用して血液の流れなどから、より多くの情報を得る。

特化部位

呼吸器(肺)、肝臓・膵臓・腎臓、骨など

主な対象疾患

肺炎、肺がん、胸水、腹部腫瘍(肝がん、膵がん等)、尿管結石、腎結石、くも膜下出血、脳出血、副鼻腔炎、骨折など。

 

レントゲンでは見つけられない病気もCT検査なら!

日本人の死因のトップであるがんは、早期発見がカギとなります。
がんの部位により違いはありますが、2019年に国立がん研究センターが発表した「がんの5年生存率」を見ると、例えば肺がんは病期(ステージ)Ⅰ期で81.6%、Ⅱ期では46.7%と約半分まで減ってしまい、Ⅲ期は22.6%、Ⅳ期では5.2%とステージが進むにつれてグッと下がります。
早期発見できれば、早期治療により治る可能性も高くなります。
がんの中でも特に男性の死亡率の1位である肺がんは、検診で用いられているレントゲンでは見つからず、自覚症状がでて病院に行ったときには既にかなり進行してしまっていることも少なくありません。
小さな病変も見つけることができるCT検査は、定期健診の際に加えて受けて頂きたいものです。

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