日本に比べて人口が約6分の1(2020年2月時点で約2360万人)の台湾ですが、新型コロナウイルス感染者数は429人、死亡者数が6人にとどまっています(4月27日時点)。つい先日、海軍艦内でコロナウイルスの集団感染が発覚したものの、現在の感染者数を見ると、台湾のコロナウイルス対応が各国から評価を受けているのは理解できますね。
◆ 台湾でプロ野球・サッカーリーグ開幕
新型コロナウイルスの影響で、各国でさまざまなスポーツリーグや大会が延期になる中、台湾ではプロ野球・サッカーリーグが4月12日開幕しました。選手や関係者、報道陣に感染がみとめられれば中止になるでしょうが、無観客試合といえども開催に至ったということからもコロナウイルスの封じ込めに成功しているといえるのではないでしょうか。
◆ 初動の水際対策
ウイルスは圧倒的に行き来の多い中国から台湾へやってくる。SARSの際に学んだ経験を活かして、中国からの入国制限を早い段階で決めた台湾。対中ビジネスや中国人観光客がもたらす経済効果を考えると損失は大きいと思いますが、このウイルスがもたらす危機の方が恐ろしいと判断したのでしょう。感染者や濃厚接触者、海外から戻った人に義務付ける14日間の隔離は徹底されていて、隔離された人に1日当たり1000台湾ドル(約3600円)の補償金を支給する一方、違反者には最高100万台湾ドル(約360万円)の罰金が科せられているようです。
◆ マスク・パニックの回避
マスクの在庫データを把握し、政府が買い上げて流通を管理する制度を導入した台湾。買い占めなどによる混乱を避けることができたのも大きいでしょう。コンビニで健康保険カードを挿入してマスクの予約・受け取りができる制度が導入されていましたが、さらに4月からはマスクの自動販売機が登場。同じく健康保険カードで個人を識別して1人につき2週間で9枚のマスクが購入できるというのです。一方「アベノマスク」は私の手元にはまだ届いていません。シャープがマスクを個人向け販売したとたん、購入者が殺到し、サイトがダウン。結果、抽選式に変更になったようですが、他社もマスク生産を検討していますし、日本のマスク不足が解消される日も近いと信じます。ちなみに4月21日に台湾政府から日本に200万枚のマスクがコロナウイルス感染拡大防止のための援助として寄贈されました。
◆ 検温の徹底とマスク未着用で罰金
台湾では特に外出自粛は求めず、人々は通常の生活を送っているようですが、お店の入り口では買い物客の検温が行われていて微熱で入店が禁止。公共の交通機関である地下鉄では改札で検温、熱がある人は乗車禁止されたり、マスクをせずに乗車すると罰金が科せられたりと、しっかりと対策が講じられているようです。
日本のコロナウイルス対応は、緊急事態宣言という強制力のないもので世界では例をみないほど甘いと酷評されています。また、WHOのテドロス事務局長が「元の生活は戻らず、新しい日常を迎える」という認識を示したように、新型コロナウイルスとの戦いは長い道のりになるかもしれません。だからこそ、今、私たちの真価が問われる時。一人一人ができることを、思いやりのある自粛で乗り越えていきましょう。当院では新型コロナウイルス感染症の流行中に限り保険適応でオンライン初診・再診の診療が受けられます 。よろしければそちらもご利用ください。
#お家にいよう
#ONETEAM
台湾では学校再開にあたり、台湾政府、衛生福利部、教育部、各自治体、教育機関は連携して必要な対策を講じたようです。
1.毎朝登校時に学校の正門で検温
額検温で37.5度以上、耳内検温で38度以上あった場合は出席停止。症状によっては即時病院へ。発熱や症状の疑いのある生徒は、休んでも欠席扱いにはならない。
2.教職員は、発熱や呼吸困難など何らかの症状が校内で出た場合、すぐにマスクをし、帰宅まで個室待機
3.645万枚のマスクを、全教育機関に予備用として配布済み
(全国の教職員・生徒・学生に対し1人1枚に相当)
台湾ではすでに国民全員に平等にマスクを有料配給する仕組みができており、十分な量とは言えないが、マスクを持っていない生徒は原則としていない。
4.アルコール消毒液8.4万トンが、教育機関に配布済み
校門、教室、トイレなどあらゆる所に設置されている。
5.額にかざす非接触式体温計2.5万個を全学校・教育機関に配布済み
6.2月23日までに学校の完全消毒完了
休校中に教職員が総出で、教室内の机や椅子、廊下などの全面消毒を実施。
7.開校中は教室の窓を開け、換気を十分に行う
8.感染者に接触したと思われる場合は、14日間自宅待機とする
9.大型の学校行事や入れ替え授業(複数クラスの交流など)は中止
10.感染者が1人出た場合は学級閉鎖、2人出た場合は学校閉鎖。
11.学校に医師を派遣し、感染予防指導や見回りを行う。