日本人の死因第2位:虚血性心疾患

先日、日本を代表する俳優の西田敏行さんが虚血性心疾患でご逝去されたというニュースが報道され、多くの方が深い悲しみに包まれました。心からご冥福をお祈り申し上げます。日本において虚血性心疾患をはじめとする心血管疾患は、がんに次いで死因の第2位となっており、決して他人事ではない病気です。人生100年時代と言われる現代において、一人ひとりが自身の健康に向き合い、適切な予防やケアを心がけることが求められています。
 
厚生労働省:
第7表 死因順位(第5位まで)別にみた死亡数・死亡率(人口10万対)の年次推移
 
虚血性心疾患とは?

虚血性心疾患とは、心臓へ酸素や栄養を供給する冠動脈が狭くなり、心臓の血流が不足し、酸素供給が不十分となって心臓がダメージを受ける病気の総称。代表的な病気として「狭心症」「心筋梗塞」があります。虚血性心疾患の主な原因は、動脈硬化。動脈硬化は、喫煙、高血圧、糖尿病、高脂血症といった生活習慣や加齢が原因で進行します。虚血性心疾患は特に老化により動脈硬化が進む中高年層に多く見られますが、生活習慣の乱れやストレスの増加により、若年層でも発症するケースが増えてきています。

 

狭心症と心筋梗塞
狭心症
狭心症は、冠動脈が狭くなり、血液の流れが悪くなった状態です。症状は胸が締め付けられるような痛みや圧迫感。動作中に起こることが多いですが、安静時に冠動脈のけいれんが起こり、発作が起こる場合もあります。通常数分間、長くても15分以内で収まります。
また、心臓の近くには多くの神経が集まっているため、狭心症や心筋梗塞などで起きた刺激が心臓だけではなく周囲に散らばり、左肩、左手、腹部、あごや歯などに痛みが出ることがあります。これを放散痛と言いますが、痛みの場所が心臓と違うため発見が遅れるケースもあるので注意が必要です。
 
心筋梗塞
心筋梗塞は、冠動脈にできた血栓(血の塊)で血管が詰まり、心筋への血流が途絶えることで、心筋が壊死してしまう病気。心筋梗塞は狭心症とは異なり、自然に痛みが引くことはなく、早急な治療が必要です。症状としては、激しい胸の痛みが15分から数時間にわたることもあります。
心筋梗塞を発症すると、心筋の細胞が短時間で壊死し始めるため、早急に血流を再開させる処置(血栓溶解療法や冠動脈形成術など)が必要です。心筋のダメージが拡大し、心不全や致命的な不整脈で突然死に至ることもあるので迅速な対応が求められます。
 
虚血性心疾患の検査方法

虚血性心疾患の代表的な検査は下記です。
・心電図検査:心臓の電気的な活動を記録し、虚血や不整脈の有無を確認。運動時の変化をみるトレッドミル負荷心電図検査や、24時間心電図の変化をみるホルター心電図検査など。
・エコー検査(心エコー):心臓の形状や動きを確認し、心臓のポンプ機能や冠動脈の状態を調べる。
・冠動脈CT:造影剤を使用し、冠動脈の狭窄や閉塞の有無をCTスキャンで確認。
・血液検査:心筋細胞の損傷の際に放出される血液中の特定の酵素(トロポニンやCK-MBなど)の上昇を確認。


虚血性心疾患の治療
薬物療法:血栓予防の抗血小板薬、血圧を下げるβ遮断薬やカルシウム拮抗薬、血管を広げる硝酸薬、コレステロールを下げるスタチンなどを使用します。
カテーテル治療:バルーンやステントで血管の狭い部分を広げ、血流を回復させます。
外科的治療:冠動脈の狭窄部を迂回する血流路を確保する「冠動脈バイパス術」があります。
 
さらに、生活習慣の改善も重要です。禁煙、食事の改善、適度な運動、ストレス管理を行い、再発リスクを減らします。治療と生活習慣改善を組み合わせて、長期的な健康を維持することが大切です。
 

睡眠時無呼吸症候群との関係

また、虚血性心疾患には睡眠時無呼吸症候群(SAS)も密接に関係しています。SASは、睡眠中に呼吸が断続的に止まる病気で、慢性的な酸素不足が原因で心臓に大きな負担がかかり、動脈硬化の進行や高血圧のリスクを高めます。結果として、虚血性心疾患の発症リスクが高まることが知られています。特に、いびきや日中の強い眠気、疲労感などの症状がある方は、早めの受診が望まれます。当院では睡眠時無呼吸症候群の治療にも力を入れておりますので、お気軽にご相談ください。

 
当院の循環器外来は金曜日
当院では、毎週金曜日に循環器外来を行っております。心臓や血管に関して不安がある方、
 胸痛、息切れ、呼吸困難、 動悸、めまい、むくみ、背中の痛み等の症状がある方は、心電図、心エコー検査が可能ですので、まずはご相談ください。適切な検査、診療による診断に基づき、循環器専門医が治療、療養指導を行います。虚血性心疾患は予防と早期発見が重要な病気です。生活習慣の改善や定期的な検査を行うことが、リスク軽減につながります。健康な心臓を保つために、定期的に循環器外来を受診しましょう。
 

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https://www.seikohkai-hp.com/menu/category/reservation/

 

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