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院長ブログblog

コロナワクチン3回目接種と12歳未満の子どもに対する接種の有用性について

新型コロナウイルスワクチンの2回接種を終えた人が70%を超えました。2021年、コロナウイルス夏の「第5波」では全国の1日の感染者数が2万5000人を上回っていましたが、その後急速に減少、10月には新規感染者数は全国でも数百人、東京・大阪でも1日の感染者数は100人を下回り、驚くほどの落ち着きを見せています。理由としては、政府分科会の見解にもあるように、連休やお盆休みなどの感染拡大につながる要素がなくなったことや、国民全体の危機意識が高まりマスク着用が定着していることはもちろんですが、やはりワクチン接種率の伸びが大きな役割を果たしているものと思われます。では、このままコロナウイルスの終息を迎えることができるでしょうか。


■「第6波」到来!?

ようやく行動制限が解除され、ワクチン接種完了率も70%を超えたこともあり、ほっとするところですが、実はそう安心してはいられないと感じています。若者の接種率が低いことと、ワクチンによる感染予防効果の減少が気になるところなのです。コロナウイルスのワクチン接種後の感染予防効果は高いですが、時間経過と共に予防効果は低下します。また、気温や湿度が下がると新型コロナウイルスも流行りやすくなりますし、年末年始のイベントでの人の流出も増え、再び感染拡大する恐れは大いにあると言えるでしょう。


■ブレークスルー感染

コロナウイルス新規陽性者数が減少、行動制限が緩和される一方で「ブレークスルー感染」の報告が目立つようになってきました。ブレークスルー感染とは、2回目の新型コロナワクチン接種を受けてから、2週間後以降に新型コロナウイルスに感染することです。原因としては、もともと予防接種で100%感染を防ぐことはできないということもありますが、「デルタ株」などウイルスの変異によるワクチンの効果の低下、抗体が作られる量にも個人差があることが挙げられます。また、ワクチン接種後の抗体が時間経過とともに減少、抗体の量が減っていても重症化を防ぐことはできますがコロナウイルスの感染そのものを防ぐことはできず、予防の効果が低下するということも多いに関係があります。


■コロナワクチン3回目「ブースター接種」

「ブースター接種」という言葉が飛び交っていますね。もともとブースター(booster)=増幅器という意味です。現時点で新型コロナワクチンは2回接種で免疫が得られるとされていますが、2回接種完了後、3回目の追加接種により追加免疫を獲得しコロナワクチンの効果を高めるということで、3回目のコロナワクチン接種は「ブースター接種」と言われています。ブレークスルー感染の増加を踏まえて、厚生労働省は、新型コロナウイルスのワクチン2回目接種完了からおおむね8ヶ月以上経った人を対象に12月から「ブースター接種」を始められるように準備を進めていています。


厚生労働省専門部会で報告されたアメリカの研究データ

(ファイザー社のワクチン追跡調査より)

●2回目接種から5ヶ月後以降の感染予防効果の変化

・16歳から44歳では89%が39%に、
・45歳から64歳では87%が50%に、
・65歳以上では80%が43%に


●入院予防効果

・16歳から44歳で88%が90%に
・45歳から64歳で91%が90%に
・65歳以上で84%が83%に


以上の内容から、感染予防効果の減少が認められるものの、入院予防の効果は保たれており、重症化を防ぐ効果はあるということになります。また、ファイザー社は2回の接種を終えた1万人以上を対象に、3回目の接種の効果を確かめる臨床試験を行った結果、発症を防ぐ有効性は95.6%で、2回目の接種を終えたあとの水準に戻すことができたと発表しています。


3回目の接種後の副反応については、ファイザー製とアストラゼネカ製は1回目や2回目接種後と比較して同程度か低い、モデルナ社ワクチンは「認容できる安全性プロファイル」との報告がされています。


■現在、子どものワクチン接種は12歳以上

コロナウイルスが流行し始めた当初は子どもへの感染率は低く、重症化するリスクも低いとされていましたが、感染力の強い変異株が出現し、子どもの感染者数も増えました。大人同様、基礎疾患があると重症化のリスクが危惧されるところですし、健康な子どもにおいても稀に重症化することがあります。ワクチン接種により感染予防はもちろん、感染したとしても重症化を防ぐことが期待されることから、国外での小児を対象とした接種経験等を踏まえて、16歳以上だった接種対象年齢が現在、日本では12歳以上となっています。子どものワクチン接種後の抗体価は、ファイザー社・モデルナ社のどちらのワクチンも25歳までの若年層と比べても劣らないという結果がでており、感染予防効果も高いということです。副反応については接種後には発熱、痛みなどの症状は比較的でやすく、非常にまれですがワクチン接種後の副反応と疑われる心筋炎/心膜炎を発症する可能性があるので、接種前後のコミュニケーションをしっかりとるなど、子どもの変化を把握できるよう配慮しましょう。


■5歳から11歳の子どものワクチン接種

米食品医薬品局(FDA)は、ファイザー社のワクチンについて、現在接種の対象となっていない5歳から11歳の子どもへの接種を承認しました。ワクチン接種による中和抗体の増加や安全性が確保できたとして、予防接種を受けることによるメリットが、健康リスクを上回ると判断されたからです。幼い子どもがコロナウイルスに感染しても重症化する可能性は低いものの、デルタ株の流行で重症化の例もあるので、ワクチン接種による重症化リスク軽減が期待されます。また、症状がなくても感染していて他の人へのウイルスを拡散することを防げるので、小学校でのクラスター発生を抑える効果も望まれるところです。


アメリカの疾病対策センター(CDC)は、5歳~11歳の子どもへのファイザー社新型コロナワクチン接種の推奨を発表、さっそく一部地域では接種が始まっています。既に日本でも承認申請に向け、ファイザーが日本政府と協議を進めているので、日本においても5歳から11歳の子どものワクチン接種開始はそう遠くはないかもしれません。


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